引っこ抜いて、吸い込まれて、吐き出して、吸い込んで〜オスペンギン山中の鹿行物語その6〜

オスペンギンby:オスペンギン

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その6でございます。少し前に神栖市で米農家をやっている実家の稲刈りが終わりました。

実家の田んぼです!

鹿行地域は色々な農家の方々も多く、数年前に我々オスペンギン2人で、鉾田市の大根農家さんのお手伝いをしたことがあります。すごくお金に困っている時期で、知り合いづてでアルバイトを紹介してもらったんです。

毎年実家の田植えや稲刈りを手伝っていたりする僕は、大根とお米、畑と田んぼの違いはあるにしろ、同じ農業なんだから大差はないだろうと思っていました。なので農業経験の無い相方のでれすけに、行きの車内で『足引っ張るなよ?』なんて冗談を言いながら仕事に向かいました。

結論から言うと、全然違いました。全くの別物。とんでもなく大変な作業でした。

稲作は田植機やコンバインなど、機械化が進み、とても便利になっていますが、大根は機械で軽く耕した後、一本一本手で抜くんです。朝から夕方まで延々と抜くんです。我々が行った日は前日の雨の影響で畑がぬかるみ、ただ歩くだけでも重労働。つまり、畑に入り、大根を一本抜き、一歩隣に移動し、また大根を一本抜く。この全てが重労働なんです。

終わってみたら、ぬかるみを歩き続けて太ももはパンパン、長時間の前かがみで腰は激痛、千本以上大根を引っこ抜いた手には、全く力が入らなくなっていました。

帰りの車内はでれすけと『風呂だ!ビールだ!晩飯だ!』の大合唱。気が付けば吸い込まれるように温泉のある『とっぷ・さんて大洋』に到着。吸い込まれるように入浴。『最高の気分とはまさにこのことだ!』というくらいの最高の気分でした。アルバイトでお金をいただいたので、そのまま吸い込まれるようにスーパーに入り、吸い込まれるようにアルコール飲料売り場に行き、吸い込まれるようにお惣菜売り場に行き、逆に吐き出すように散財してしまいました。

当時オスペンギンは一緒に住んでいたので、帰宅してそのまま大宴会。そのぐらいの達成感だったんです

たくさん買ったビールや食べ物は、吸い込むように飲みまくって食べまくりました。

次の日の朝、アルバイトでもらったお金がほとんど残っていない後悔と、全身の筋肉痛と、重めの二日酔いのトリプルプレイも、今となっては良い思い出です。

『大根役者』や『大根足』など、マイナスイメージで使われることが多い大根ですが、この経験の後だとどちらも褒め言葉に聞こえます。『大根役者』は『刺身のツマや大根おろしのように相手を引き立てる名脇役にもなれるし、おでんのように大人気の主役にもなれる役者』みたいな感じで、『大根足』は『いつまでも歩き続けられそうな頑丈な足』といったところでしょうか。大根足に関しては、女性に言うと褒め言葉かどうか難しいところですが…。

そして全ての食材を作るのにそれぞれの苦労があるんだろうなと思うと、ご飯を食べる時に作業のように言っていた『いただきます』の言葉にも、自然と気持ちが込もるようになりました。

農作業が未経験の方、ぜひ何かしらの農作業を体験してみてはいかがでしょうか。

大げさに言えば、人生観変わります。『大げさに言えば』です。


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