霞ヶ浦に浮かぶ秋の風物詩。鹿行の風で駆ける帆引き船

アバターby:鹿行ナビ

大きな帆を広げ霞ヶ浦を雄大に進む帆引き船。明治時代、シラウオ漁を目的に考案された漁法は、ワカサギ漁の主役となり、約100年間、霞ヶ浦漁業の花形でした。現在では観光を目的として、9月から12月上旬までの土・日曜日に、伝統的な漁の様子を間近で見学することができます。

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霞ヶ浦大橋のたもとから出航したボートが、夕暮れ迫る霞ヶ浦を疾走します。湖面をわずかに波立たせている風が気持ちよく、ほとんど揺れも気にならないので、船酔いが心配な人も安心して乗船することができるはずです。

観光帆引き船の見学船に乗ってみた

約10分ほどボートを北へ走らせると、お目当ての観光帆引き船が帆を広げている姿が見えてきます。この日は真新しい白い帆を広げた船と、日に焼けて黄味がかった昔ながらの帆を広げた2隻が登場。それぞれに味わいがあって、ボートに乗っているお客さんのテンションも上がってきます。

ボートは「見学随伴船」と呼ばれていて、お客さんが実際に帆引き船に乗ったり、触れることはありません。随伴船が帆引き船のまわりを、ぐるぐるとまわりながら、30分ほどかけて昔ながらの漁の様子を見学します。

絶好の撮影スポットで帆引き船を楽しむ

見学随伴船に乗船しているお客さんの楽しみは、帆引き船の写真を撮ること。いろいろな角度から、帆引き船に近づいてくれるので、さまざまな表情の写真を収めることができます。

ほんの30分間ですが、夕暮れの霞ヶ浦はさまざまな表情を見せてくれます。ときには、湖面がキラキラとダイヤを散りばめたように輝いたり、夕日があたりを真っ赤に染めて、その向こうに筑波山のシルエットがはっきりと浮かび上がったりします。

その瞬間を逃すまじと、プロ顔負けの一眼レフを抱えた写真愛好家が、夢中になってシャッターを切ります。風の具合、光の具合は、そのときどきの運次第。納得できる1枚を撮るために、何度も乗船する人もいるそうです。家族連れやカメラを持たない観光客も、美しい自然の変化に息をのみ、そこに浮かぶ帆引き船の雄大な姿に魅せられます。

昔を伝える帆引き船

帆引き船は、船体の右側に船体よりも大きな帆を広げているのが特徴です。帆が強い風に押されても転覆しないつくりになっていて、横から受けた風の力が力、揚力を生み出し、その仕組みは凧の原理に似ているといわれます。

帆を広げた反対側の湖面にはいくつかのブイが浮かんでいます。水面下には大きな網が広げられていて、網を引きながらゆっくりと航行して、ワカサギなどの魚を捕獲していることがわかります。

船上で作業している漁師の皆さんの笑顔も印象的です。ほのぼのとした様子は、明治時代から湖上で繰り広げられてきた光景を今に伝えています。

お問合せ

行方市開発公社
TEL ▶ 0299-55-3927

(この記事は月刊アントラーズフリークスのホームタウン浪漫紀行に加筆修正を加えて掲載しています)


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