鹿嶋の遺跡行ってみた!今回はハマナス自生南限地帯をご紹介します。皆さんはハマナスの花を見たことがありますか?ハマナスは、バラ科バラ属の落葉低木で、海岸の砂地に生えて、群落を作り、夏に赤い花を咲かせます。根は染料などに、花はお茶などに、秋に実る果実はビタミンCが豊富で、ローズヒップとして食用にもなります。また、皇后雅子様のお印でもあります。
ハマナス自生南限地帯は、鹿嶋市大字大小志崎の波打ち際から約60m程の内陸に所在しています。ハマナスは寒い地域に自生する植物で、北海道や東北地方の海岸には普通に見られる植物ですが、南に行くに従って次第に少なくなります。日本は南北に長いことから、南には熱帯性の植物が、北には寒帯性の植物が国土を覆っていますが、温暖な地域に自生する植物の北限はどこか、寒冷地域に自生する植物の南限はどこか、その境界を明らかにするための調査が大正時代に行われました。大小志崎のハマナス自生地は太平洋側の南限の地として、大正11年3月8日に当時の内務省によって国の天然記念物に指定されました。
また当時、鹿島郡内では他にもいくつかのハマナス自生地が存在していたようです。大小志崎より南の現鹿嶋市清水地区にも当時はハマナス自生地があったと報告されていますが、大小志崎の方がよりハマナスが密生しており、また人の往来が少なく保存に適した場所ということで、寒帯性の植物であるハマナスの南限の地として大小志崎のハマナス自生地が国の天然記念物として指定を受けました。
どきどきセンターでは毎年5月頃と9月頃にハマナス自生南限地帯の草刈業務を行います。ハマナスが成長できるように、ハマナス以外の草は鎌を使い手刈りで刈っていきます。バラ科のハマナスは棘があるため、厚手の手袋は必須です。
大小志崎のハマナス自生南限地は、昭和40年代頃から指定地の周辺環境が変化し、昔より株数がやや少なくなってきていますが、5月から7月頃にかけてひっそりときれいな花を咲かせています。保護するため柵で囲われており、中に入ることはできませんが、周りから見ることができますので、是非お出掛けされてみてはいかがでしょうか。