新日本歩く道紀行100選 鹿嶋 神の道を歩く 神の住むまち編

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ウォーキングコース「鹿嶋 神の道」

鹿嶋の街を巡るウォーキングコースが整備されて、「鹿嶋 神の道」として親しまれています。悠久の歴史が息づく鹿嶋は、魅力あふれる史跡や自然がいっぱい。現在、コースはルート3までありますが、今回はルート1のみどころをご紹介します。

鹿嶋は神が住む街です。紀元前7世紀に創建されたとされる鹿島神宮を中心に、たくさんの神社や史跡が残されていて、周辺を散歩するだけでも悠久の歴史に心がときめきます。神宮橋の横にたたずむ大きな朱色の鳥居は、鹿島神宮の一之鳥居。実は東西南北4カ所に一之鳥居が配置されていて(現存は3カ所)、それらに囲まれた区域が神域とされています。

その神域を巡るウォーキングコースが「鹿嶋 神の道」です。コースを設定したのは鹿嶋 神の道運営委員会代表の西岡邦彦さん。「鹿嶋の魅力をたくさんの人に知ってもらいたい」と、草に覆われた古道を開き、案内板を設置するなど、コースの整備を進めています。

ルート1 神の住むまち

ルート1のスタートは鹿島神宮。まずはアントラーズの必勝を祈願しましょう。神宮の森を抜けて住宅街を通り抜けると、少し薄暗くなった森の古道が姿を現します。コース途中には破魔矢をかたどった道しるべがあるので迷うこともなく、高低差もほとんどない歩きやすい道が続きます。

北に向かって少し進むと森が途切れて、のどかな田園風景が広がります。「谷津田の道」です。車はもちろん入ってくることができず、電信柱の一本も立っていません。まさに、いにしえの里山です。六月の中下旬、夜にはホタルの美しい乱舞が見られるそうですが、一人で行くには少し勇気がいりそうです。

再び森に入りしばらく歩くと、最初の目的地といってもいい「坂戸神社」に到着します。小さな無人の社ですが、8世紀前半にされた『常陸国風土記』に、「鹿島神宮」「沼尾神社」と三社で「香島の天の大神」と記録されているほど歴史が古く、「鹿島三社」として崇められてきました。特別な日に「三社詣り」するのが慣例です。

古代の古墳や中世の塚や塔が散在するのも、神の道の特長です。塚原古墳群を抜けた先に広がる北浦湖畔の美しい景色は、歩いた疲れを吹き飛ばしてくれるはず。夕焼けの時間帯はさらにすばらしい風景が見られます。

夫婦塚古墳は、6世紀前半に造営された前方後円墳です。いまだに発掘されていない、手つかずの古墳で、その大きさから土地の有力者の墓であることはわかるのですが、どんな人物が眠っているのかは謎に包まれています。

塚原古墳群の高台から見下ろす北浦の眺望が美しい

「昔は仕事中心の生活で、地域の魅力にまで目が届かなかったんです」と西岡さん。息子さんが成長して、鹿嶋を離れた後、「この地域は魅力にあふれている」と気がついたそうです。「息子が帰ってきたときに、『こんなにいいところで育ったんだよ』と伝えたくて、この活動を始めました。今は日本遺産への登録を目指しています」と、熱く語ってくれました。

神の道を歩いて

神の道は健脚でも満足できる歩き応えがありますが、歩きやすく整備されているので、初心者でも安心して歩けます。ルート1のショートコースも、手軽に楽しめておススメです。ぜひ試合観戦の前にチャレンジしてください。

(この記事は月刊アントラーズフリークスのホームタウン浪漫紀行に加筆修正を加えて掲載しています)


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