鹿嶋市はやはりグイグイこないけど逆にグイグイいきたくなる(家族移住体験:鹿嶋市#2)

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前回はこちら

鹿嶋市役所の職員さんとお別れをした後は、
家族4人で早速職員さんおすすめのコミュニティストアMIZUNOへ。

コミュニティストアMIZUNOと、車の鍵をなくした夫

大きな鹿島灘はまぐりや、立派過ぎる鹿嶋だこ。
銚子港直送のニベというお魚がお一人様10匹までは1匹10円。(11匹以降も30円)
同じく銚子港直送のムシガレイがお一人様10枚までは1匹1円。(11枚目以降も30円)
野菜もちょっとびっくりするくらい安い。

(気になる方はMIZUNOのinstaで本日の目玉商品を発信しているのでぜひチェックしてみて欲しい)

物価が安いとは聞いていたけれど、想像よりも安かった!

サイフを忘れて車に戻ると、「くく車のかかか鍵がない」と顔面蒼白の夫が言う。
専用駐車場からストアに着くまでの間に落としたらしい。
駐車場の隅で、ほふく前進のお手本のような体勢になって鍵を探している夫を盗撮しようとしたところ、夫から「今はちゃうってわかるやろ…?」的な視線を向けられて断念。

ただし三つ指(正確には二つ指)ついておじぎしてる風の現場は押さえた

そうこうしているうちに「どうしたの?」と夫のことを励まし、一緒にカギを探してくれる店員さんが次々と現れて、
先ほどまでの自身の行動を深く深く反省し、改心した私も必死に探し始めたところ、何故か息子のチャイルドシートから鍵が見つかった・・・!
(よかったー!)

「知り合いにメーカーの人がいるから呼ぼうか?」などと最後まで親身になってくれたMIZUNOの店員さんには家族一同感謝しかない。

見つからなかったら確かに一大事だ。
夫を盗撮している場合では全くなかったのだ。

あらためて深く反省しながらおにぎりと温かいお茶を準備し(正確には夫が準備し)、PCと本を持って、これまた職員さんおすすめの「はまなす公園」へと向かった。

大の男が尾てい骨を擦りむくほど遊んだはまなす公園

バケーションに来ているわけではない。
家族みんなで場所に縛られずに、遊びや仕事を含む日常を過ごせるか。
家族での移住がもっと気軽なものにならないか。
そんな実験のために来ているのだ。

そう再確認しながら、はまなす公園に到着した瞬間、私と夫と子どものワクワクが爆発した。

すぐに先ほどの気持ちを改める。

楽しんだっていいじゃないか。
遊びや仕事などの日常がワクワクするもので全然いいじゃないか。
仕事は粛々と落ち着いた心と場所で静かにするものと、誰が決めた。(誰も決めていないか)

しかし、ワクワクした状態で集中できるかが問題だ。
まずは子どもたちと、全長154メートルの海に向かって滑るローラー滑り台へ向かう。

いいなぁ。
楽しいなぁ。
でも154メートルも続くローラー滑り台の振動で、おしりの表面が急速に温まり、痒みさえ覚える。

「お母さん、もしかしてお尻痒いの?」
娘にそう聞かれ、咄嗟に「は?」と返した自分を強く恥じる。(何一つ間違っていない娘には、しっかりと謝った)

夫も夢中だ。(調子に乗った彼はのちに尾てい骨を擦りむくこととなる。)

楽しそうで何より。

公園でリモートワーク

よし、では私は仕事用の資料(書籍)を確認することにしよう。
どこで読もうか色々考える。

鳥がピチピチ鳴く中、家にいるような森にいるような不思議だけど澄んだ感覚で集中できた。(のちにこのピチピチは鳥ではなく我が子の声だったことを知る)

憧れだった、木の上での読書

これは何かしら自分に酔った感覚の中で集中できたようなできないような。
でも木の上での読書なんて人生で一度はやってみたかったようなことであり、気分がとても高揚したし、ここで読んだ本のシーンは忘れない。
(でも人がきたらすぐ降りたことだろう)

貸切状態だからできたようなものだ

これはなかなか良かった。座れる場所がちゃんとあって、ゆらゆらゆらゆら。心地よい揺れは、なぜか集中力を高める気がする。
それでも仕事といっても読書だからできたのかもしれない。そして貸切状態だったからだろう。

この広大な公園には私たち家族と、散歩しているシニアが1人、2人。

ちょっと飽きたら公園内で場所を変えて、子どもたちのけんかする声とか、笑い声とか、夫の「あ、ちょ・・・!!!」みたいな声とかをぼんやりと聞きながら本を読みふけった。

控えめにいって、最高だ。

気付くと、公園を散策しているシニア夫婦と娘は既に友達になって、何故か一緒に写真まで撮っていた。

でも、今日はPC作業じゃなかったからできた仕事かもしれない。
私の場合PC作業はテーブルがないと長時間は集中できない。
テーブルがあるあずまやもあったから、今度はそこでしてみよう。

途中で夫がつくったおにぎりを食べて休憩をし、気付くと3時間が経っていた。
子どもたちは文字通り泥だらけで、足や手にマメが出来ていて、夫は尾てい骨を擦りむいていた。

民泊STAY ROKKOにチェックインする時間の16:00が迫っている。
なんだかとても名残惜しい。まだまだここにいたかった。
散策しながら、帰路につく。

娘はクリスマスにお金がもらえますようにと拝んでいた
千と千尋みたい!とはしゃいでいた

民泊施設STAY ROKKOとすーちゃん

民泊施設STAY ROKKOは、住み込みの管理人さんがいる施設だ。
民泊自体はじめて利用するし、住み込みの管理人さんとどんな風に一つ屋根の下過ごすのだろうと未知の世界にドキドキしていた。
子どもたちがうるさくしたら申し訳ないしなぁ、夫婦喧嘩もできないなぁなどと心配事は尽きない。

到着し、お会いした管理人さんはすーちゃんという。(本当は別の名前なのだが、娘と息子がこう呼ぶから私たち夫婦の中でもそうなった)
私たちより少し年下であろうすーちゃんの穏やかそうな笑顔と落ち着いた話し方を見て、今朝お会いした市役所職員さんを思い出す。
この、人を安心させてくれるような佇まいや話し方は市民性なのだろうかとさえ思った。
すーちゃんも、決してグイグイ来ない。

過剰に愛想を振りまくようなこともなく、かといって冷たい印象も全くない。なんかあたたかい。子どもたちはあっという間に自然体なすーちゃんの虜となっていた。私もあっという間に何の抵抗もなくすっぴんになり寝巻に着替えることができた。
すーちゃんは本当にナチュラルに子どもたちと私たちに接してくれた。

STAYROKKOは2階だての建物で、2階にはドミトリータイプの洋室部屋、セミダブルツインの部屋、シングルツインの部屋、談話室があり、一階にはドミトリータイプの和室部屋と談話室、他にはキッチンとシャワー室とトイレがある。

私たちは全部で14畳もある一階の和室を使用させていただくことにした。
14畳の部屋は、襖で6畳と8畳に分けることができ、私たちは6畳の部屋を仕事用として使い、8畳の部屋を寝る部屋とした。Wifi完備がとても助かる。
(子連れには襖で仕切れることはお昼寝などの時に大変ありがたい。子どもがお昼寝している横の和室で、ソワソワせずにオンラインMTGができた。)
夜はこの部屋から今通っている大学のオンライン講義を受けた。
オンライン講義を受けているこの部屋の前にあるリビングから、すーちゃんと夫が談笑している声が聞こえてくる。

なんかいい。うん、いい。

ストーブがまたなんかいい。うん、いい。

夜ごはんは、地元スーパーで購入した食材で夫がつくったチョレギサラダとジャーマンポテトと、ポテトサラダと、ポテトの照り焼き。そしてりんご。

ジャガイモの圧がとても強いが、この状況が何だかとても新鮮で、とてもおいしかった。(夜ごはんは撮り忘れた!)

やはり旅行とは違う。
仕事をして、公園に行き、ご飯をつくり、自分たちで布団を敷き、洗濯をした。
場所が変わっただけで生活は変わらない。

いや、違うな。やはり特別だ。すーちゃんが、休日に自分で釣った魚をさばいてお刺身にしておすそ分けしてくれたのだ。
甘くてとてもおいしかった。

今回の旅には帰れるような場所を増やすというちょっとした目標がある。

子どもたちは一日目にして「すーちゃんに会いにまた鹿嶋に戻りたい」と言い出す始末だ。
子どもたちはすごいスピードで友だちと、そして戻りたい場所をつくっていく。

何を書いてあるのかは完全には分からないが、すーちゃんへの好きが強すぎることは分かる。

もしかしたら、こういうことなのかもしれない。

ワーケーションはまだしっくりこない

ああ、久しぶりに心地の良い疲れだ。
ただ、一日を振り返り、移住体験、そしてリモートワークというワードはしっくり来ているのだが、ワーケーションという言葉はどうもしっくりきていない。

バケーションとワークは、まだ私の中では一緒にするものではなさそうな気がする。
それは鹿嶋市に来てからなおさら思った。

ここが完全な南の島だったり観光名所ばかりの温泉街だったりしたら、私はやさぐれていたかもしれない。
あぁ、せっかくなんだから子どもともっと遊びたい。満喫したい。何しに来たんだっけ・・。仕事を終わらせてから、思い切り遊びに来ればよかったじゃん・・。

そんなことを思い、先方から来る連絡さえも疎ましく思ってしまいそうな可能性さえある。

しかし鹿嶋市は日常の延長にあり、特別なのに特別過ぎない。
公園、海、森、星、イベントたちが
「ほら、今すぐ遊びにおいでよ!!時間がもったいないよ!」
とギラギラ誘惑してくるわけでなく、当たり前に静かにそこにあるのだ。

毎朝毎昼毎夜そこにあって、
日常の延長に、副産物的に豊かな自然とその美しさに息をのむことができるのだ。

明日の朝も30分だけあそこに行こう、となる。
今日がダメなら明日でもいいや。
今日も行ったし明日も行こうかな。
そんなふうに、贅沢にゆったりできる感じだ。

明日は明日で、仕事と日常を楽しむ所存だ。
明日は仕事を終えたら星を見に行こう。

つづく

渡部 直子

ありの幅を広げる企画オフィス「ある意味」の代表。書き込み式フリーペーパー「ママの大事なノート」編集長。「欲しがりません、好感度」の会を不定期開催。育休中に初対面のおじさんとM-1出場(もちろん敗退)。主夫の夫と子ども2人の家族4人で、帰れる場所を増やすような「暮らす旅」を実験中。


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