風情溢れる「水郷潮来あやめまつり」
江戸時代、水運の要衝として栄えた潮来は、霞ケ浦や北浦に囲まれ、常陸利根川、前川が流れる、水郷として知られます。毎年5月末から6月末にかけて開催される『水郷潮来あやめまつり』は全国から大勢の人が訪れてにぎわいます。春を迎えた潮来を歩きました。
新緑が美しい季節になると、潮来を彩る水郷の水面がキラキラと輝きを増して、春の訪れを感じさせてくれます。江戸時代の風情が残る町並み、水郷地域ならではの豊かな食やレジャーを楽しむ人が増えて、春の潮来はにぎわいを増していきます。
なんといっても、待ち遠しいのが5月末からはじまる『水郷潮来あやめまつり』です。前川周辺に広がるあやめ園では紫、青、白などいろどり豊かな500種100万株のあやめ(花菖蒲)が咲き誇ります。これだけの規模であやめが見られるのは、日本でも数少ない。昭和27年にあやめまつりがはじまったころは、愛好家の人たちがビール瓶などにあやめの切り花を入れて、鑑賞を楽しんでいたそうです。
前川は雄大な常陸利根川に流れ込む小さな川ですが、あやめまつりの風景にはなくてはならないものです。ろ舟を櫓で漕ぐ娘船頭さんは、昭和のゆったりした情緒を再現してくれています。「優雅に漕いでいるように見えても、揺れないように漕ぐには技術が必要なんです。でも、お客さんはそんなことは気にせず、ゆったりと景色を楽しんでほしいですね」と娘船頭を10年以上つとめている石井恵さん。ろ舟から見るあやめもまた格別です。
潮来花嫁さん「嫁入り舟」
あやめまつりを盛り上げる、もう1つのイベントが潮来花嫁さんによる「嫁入り舟」です。実際にあやめまつりを基準に前後1年以内に結婚した夫婦のみが参加できるイベントで、伝統的な作法にのっとった厳粛な雰囲気のなか、花嫁さんが舟に乗り、正装したお婿さんの元へと向かいます。陽が沈んだころに行われる宵の嫁入り舟は、幻想的な雰囲気がとくに美しく、2014年には鹿島アントラーズの中田C.R.Oも体験しました。
あやめの季節だけでなく、さまざまな風景が楽しめる潮来ですが、地元をよく知る石井さんが「夕日が沈む時間の景色がとくにきれいです」と教えてくれました。おすすめスポットは「前川にかかる千石橋からみる夕焼け」。周辺の昔ながらの建物が景色に溶け込んで、江戸時代と変わらぬ風景を再現してくれます。
水郷は水が豊かなので、おいしいお米やお酒がつくられる地域でもあります。あやめを楽しんだあとは、ぜひ一泊して、潮来の味覚も楽しんでください。
鹿島アントラーズ中田C.R.Oも嫁入り舟を体験。花婿として特別に祝言舟に乗せてもらいました
千石橋から見る夕日がおすすめ!
■水郷潮来あやめ園へのアクセス
東京駅から高速バス鹿島神宮駅行きで水郷潮来下車(約1時間15分)。タクシーで約5分。鉄道なら、東京からJR総武線、鹿島線を乗り継いで約1時間50分。潮来駅下車徒歩10分。
お問合せ
あやめまつり期間の花嫁さんの募集など、詳細は潮来市観光商工課までお問い合わせください。
潮来市観光商工課
TEL▶0299-63-1111
(この記事は月刊アントラーズフリークスのホームタウン浪漫紀行に加筆修正を加えて掲載しています)