2018年に「今年の一皿」に選ばれて、空前の大ブームとなったサバですが、茨城県は日本一の漁獲量を誇っています。ホームタウンである神栖市の波崎漁港でも、2016年には3万トンを超える水揚げを記録しました。旬の時期を迎えてにぎわう波崎漁港と、お土産店に人気商品を並べる髙木商店のサバ缶工場を訪ねました。
国道124号線を銚子方面へと車を走らせ、太平洋と利根川に挟まれた土地の、とがった先にあるのが波崎漁港です。魚市場で有名な銚子が目と鼻の先。一般の買いつけや、観光市場はないので、少し寂しい風景ですが、波崎漁港の水揚げ量も日本有数を誇ります。冬の時期、主役となるのがサバです。
「現在(2018年12月4日ごろ)、サバは八戸から、石巻沖あたりが漁場になっています。夕方から出航して2時間ほどかけて網をまくり上げ、翌日早朝に帰港。ここ数年大漁が続いています」と、はさき漁業協同組合業務部長の遠藤伸さん。大型船が帰港すると、大量のサバが水揚げされ、トラックの荷台に降り注ぐように移されていきます。
サバに含まれるEPAやDHAといった脂肪酸が美容や健康、ダイエットに効果があるとメディアで紹介されて以来、サバは大ブームとなっています。2018年はぐるなびが選ぶ今年の一皿に「鯖」が選ばれて、大きなニュースにもなりました
「サバは漁場を移動することでほぼ一年中取れる魚ですが、脂が乗っておいしいのはやっぱり秋から冬にかけて取れたサバです。大量に水揚げされたサバはサバ缶に加工されたり、海外へ輸出されていきます」
サバ缶は、地域の名産品として人気の商品です。サバを満載したトラックを追いかけるように、すぐ近くの髙木商店を訪ねました。
「おいしい季節に取れたサバを冷凍して加工する場合と、朝取れたばかりのサバを、そのまま加工する二つの方法があります。どちらもおいしいですよ」と話してくれたのは、髙木商店代表取締役社長の髙木安四郎さん。2018年のサバ缶ブーム到来に驚きつつも、「市民権を得た」と笑みが絶えません。みそ煮やしょうゆ煮、カレー煮やおしゃれなアヒージョなど、数々の人気商品を生み出しているのですが、「塩を入れただけのシンプルな水煮がやっぱり一番おいしいんですよね」と髙木社長。脂が乗りすぎているとおいしさがそがれるそうで、「20~25%ぐらいの脂が最適。ふっくらしつつも、おなかが空っぽの状態(素腹)が保存にも適していて、とてもおいしいんです」と教えてくれました。
大量に運ばれてくるサバが、どのようにサバ缶として詰められていくのか。安全にこだわり、効率化された工場を案内してもらいました。
高木商店 [サバ缶工場]
到着したトラックからサバが下ろされる
コンテナのなかはあふれんばかりのサバが
取材協力
髙木商店
https://www.takagi-shouten.com/
住所▶神栖市波崎8704番地1
TEL▶0479-44-1133
営業時間▶8:00~16:30
土日祝日休業
(この記事は月刊アントラーズフリークスのホームタウン浪漫紀行に加筆修正を加えて掲載しています)