ココロオドル鹿嶋を再発見vol.3~縄文の美~

鹿嶋市どきどきセンターby:鹿嶋市どきどきセンター

「土偶」と聞くとどんな形を思い浮かべるでしょうか?

 遮光器土偶(しゃこうきどぐう)や縄文のビーナス、縄文の女神などの有名な土偶を思い浮かべると思いますが、日本各所では様々な土偶が見つかっており、鹿嶋市でも土偶が出土しています。市内には縄文時代の遺跡が約110か所確認されており、遺跡からは縄文土器の深鉢・浅鉢、土偶、石製品の石斧・石皿などが出土しています。

片岡遺跡出土 ハート形土偶

 土偶は、頭の形の特徴などから、ハート形土偶、ミミヅク形土偶や山形土偶などに分けられます。遺跡から出土する土偶は、足や胴体の一部など割れた状態で見つかることが多く、完全な状態で見つかることはほとんどありません。

  鹿嶋市宮中にある片岡遺跡で見つかったハート形土偶は額、後頭部、背中などに隆帯で渦巻を作り、顔や肩には縄文(縄目模様)が施された少し珍しい姿をしています。

 ミミヅク形土偶は、顔が鳥のミミヅクに似ているのでミミヅク形土偶と呼ばれており、耳には丸い耳飾り、頭には櫛をさしている状態だと考えられます。市内では宮中にある片岡遺跡や三笠山遺跡、殿坪遺跡などから見つかっています。

 山形土偶は、頭が三角形の山のような形になっており、顔には赤彩が施されています。顔や胴体に赤彩や線刻で模様を施すのは、当時の人々が顔や体に刺青を施しており、それを表現していると考えられています。市内では宮中にある片岡遺跡などから出土しています。

 土偶は、人型の土製品のことで、主に女性を模ったと考えられるものが多く、子孫繁栄などの願いを込めた祈りの道具であったと考えられています。

市内で出土した土偶

 土偶のほかにも、動物形の土製品も見つかっています。市内の片岡遺跡からはイノシシを表したものと考えられる土製品が出土しています。縄文人にとってイノシシは貴重な食糧だったと思われ,遺跡からは、イノシシを捕まえるための落とし穴や、イノシシの骨が見つかることがあります。縄文時代は狩猟・採集が食料の調達方法でした。最近ジビエが流行っていますが、縄文時代からイノシシやシカが食べられていました。

イノシシ形土製品

 縄文時代は、現代と比べて食料難や衛生面での問題で子供の死亡率が高かったと言われています。そのため、子供の成長を願う思いが強かったのでしょう。そして、狩猟・採集が中心の生活であるため、自然の恵みは欠かすことのできないものでした。動物の形を模ることはそうした願いが込められていたのかもしれません。

どきどきセンターPRESENTS-ココロオドル鹿嶋を再発見-

 鹿嶋市どきどきセンターは、鹿嶋市内の発掘調査や鹿嶋の歴史・文化を伝える事業を展開しています。今回より全24回、鹿嶋市内の発掘調査の出土品からみえる鹿嶋の歴史や文化・食生活など紹介していきます。また、どきどきセンターの企画展や事業をお知らせします。


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