毎年3月9日、鹿島神宮で行われる祭頭祭は、春の訪れを告げる風物詩です。鮮やかな衣装に身を包んだ囃人が、六尺のの棒を組んでは解きながら、五穀・天下泰平を願うを囃します。地域に根差した祭りの見どころを、鹿島神宮の・さんに聞きました。
13時に左方本陣を出陣した囃人は、「イヤートホヨイホヤァー」と祭頭歌を囃しながら街を練り歩きます。途中2カ所で踊りを披露して、鹿島神宮のをくぐるのは16時30分ごろ。本殿前で一斉に囃す瞬間が、祭のクライマックスです。
18時から本殿で行われる大祭が、春季祭。翌年の祭頭祭を受け持つ郷が選ばれます。
「祭頭祭は色鮮やかな衣装やにぎやかな祭頭歌の印象が強いお祭ですが、実は春季祭がとても大事な神事となります。という占いが行われて、翌年、祭頭祭を担当する郷が決まります。北郷と南郷からそれぞれ一つずつの郷が指名され、翌日には神宮よりが届けられて、一年をかけた準備が始まるんです。郷は現在、鹿嶋市と神栖市に51郷。祭頭祭は地域を一つに結びつける大切な役割を持つ祭となっています」
周期としては約20年に一度当番が回ってくるのですが、地域に暮らす住民が入れ替わるなかで、由緒正しいしきたりなどを受け継いでいくのも難しい時代になっています。華やかな祭頭祭の陰には、それぞれが手を取り合って、神事を守る姿があるのです。左方、右方に指名された郷は、祭の主役といっていい存在となります。
郷からは、5歳前後の男子が一群の将として選ばれて、当日は勇壮な姿を披露します。、もしくはと呼ばれる大切な役割です。
「祭頭祭の起源は奈良時代ともいわれ、九州の防護へと旅立つの武運を祈った祭だとも伝えられています。〝鹿島立ち〟という言葉の起源にもかかわりがありそうです。現在では五穀豊穣を祈念する春の祭事となり、祭頭歌には、まさに豊作の願いが込められています」
大きな竹が神前に立てられ、ささらに割かれる瞬間も見逃せません。大豊竹の担当も宮中地区で決められています。一年をかけて大切に育てられた竹は、祭頭祭のシンボルであり五穀豊穣の願いが込められています。竹を割くことで“枝分かれして栄える”という言葉につながると考えられています。
「鹿島神宮はもちろん、祭頭囃保存会などの力もあり、伝統が受け継がれています。ぜひ、華やかな囃人や祭頭歌の陰に、地域が一つとなって、一年かけて育てているお祭ということを知ってください」
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鹿嶋市教育委員会 TEL▶0299-82-2911
(この記事は月刊アントラーズフリークスのホームタウン浪漫紀行に加筆修正を加えて掲載しています)