日本一の生産量!鉾田市メロン物語その3 アントラーズメロン

アバターby:鹿行ナビ

アントラーズメロンとは…?

2005年からスタートしたアントラーズメロン。今では毎年カシマサッカースタジアムへ楽しみに買いに来てくれる常連サポーターの方が数多くいます。今回は、とっても甘くておいしいアントラーズメロンの秘密を、JAしおさいの野口靖春さんに聞きました。

カシマスタジアムで年に一度、メロンが買えるのを知っていますか?

毎年メロンの収穫時期である5月から6月の試合日に、スタジアムコンコースで販売しています。その名も「アントラーズメロン」。JAしおさいとアントラーズの取り組みとして、2005年から販売をスタートしました。

ことの始まりは、アントラーズスタッフの「子どもと女性をターゲットに、ホームタウンにあるフルーツの魅力をアントラーズサポーターにも知ってもらいたい」という熱い思いからでした。知り合いが作る鹿嶋市のユウカメロンを食べたとき、あまりのおいしさに驚いて、“これをスタジアムに足を運ばないと食べられない”ものとして販売できないかと考えるようになったのです。そして、思い一つで鹿嶋市と神栖市の2市の区域からなるJAしおさいに飛び込み営業をかけたのでした。

アントラーズメロンの生産者が語る

当時、提案を受けたときの心境をJAしおさいの野口さんはこう語ります。

「どれだけ売れるかもわからないけれど、ある試合日に一定数のメロンを出荷しないといけない。最初に話がきたときは、そんなの無理だろうと思いました。ただすぐに、どうせやるなら本当においしいメロンを作ろうとなったんです」

JAしおさいの管轄で作っていたメロンはユウカメロンとタカミメロンの2種類。タカミメロンは、大量生産に優れた生産方法で、50日から55日で一斉に収穫をすることができます。一方、ユウカメロンは一つひとつの色を見て、成長度合いを確認しながら収穫するもの。天候によっても差が出るため、1日に何度も確認することが必要となり、とても手間がかかり大量生産には向かないことから、普通の農園では敬遠される品種でした。

しかし、「アントラーズメロン」として挑戦することに決めた品種は、ユウカメロンでした。香りや糖度など、味に関しては間違いない逸品。「儲けは別にして、おいしいメロンをアントラーズサポーターに届けたい」。このアントラーズスタッフとJAしおさいの熱い思いが、アントラーズメロン構想をあと押ししました。「そういう考えが好きなんです」と野口さんは笑顔で言葉を続けます。

「肥料を使いすぎると玉が成長しても味が落ちてしまう。早出しをすると味が悪く、お客さんは離れていく。そんなことがないように、一つひとつていねいに色や大きさに細かいチェックを入れ、味にこだわって作ることをモットーとしたのです。作ってくれているのは、腕のいい農家の人たちばかり。できれば若い人にも作ってもらって、もっと盛り上げてほしいのですが、やはりそんなに簡単なものではないようです。『試してみたけどなかなか難しい』と、出荷するに至っていません。一つずつメロンの出来を見て、色や大きさをチェックします。重さは1・6キロ以上。それ以下であれば商品にできません。厳正なチェックのもと、最高のメロンだけをアントラーズメロンとして出荷しています」

年に一度の販売にも理由があって、「時期に合った栽培をして、最もおいしいメロンを食べてほしいから」。販売の際に店頭に立つと、購入してくれたお客さんから言葉をもらうことがあるそうです。

「今では毎年買いに来てくれる人の顔がなんとなく頭に残っているんです。なかには『今年も買いに来たよ!』とか『試食なんていらないよ! おいしいのはわかってるんだから』と言って買ってくれる方もいます。本当にうれしい限りです」

例年、5月開催の試合でアントラーズメロンが販売されます。ぜひ、一度食べてみてください。熱い想いが詰まった、初めて出会う本当の甘いメロンの味わいが待っていること間違いありません。

(この記事は月刊アントラーズフリークスのホームタウン浪漫紀行に加筆修正を加えて掲載しています)


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