古墳に眠る宝物⑪耳環

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 第11回目は耳環(じかん)です。耳環は、古墳時代後期から飛鳥時代にかけて造られた環状の金属製耳飾り(イヤリング)で、男女を問わず耳につけていたと考えられています。
 純金や・銀・銅製のものは少なく、銅または青銅の表面に金をメッキ(鍍金)した金銅(こんどう)製や銀鍍金のものがほとんどで、銅や鉄の表面に薄い金・銀板を巻いて製作したものもあります。
 市内の古墳から出土している耳環は3点あり、いずれも宮中野古墳群大塚古墳から出土したものです。

宮中野古墳群大塚古墳出土耳環

 耳環は表面素材によって「金環」・「銀環」・「銅環」とも呼ばれ、宮中野大塚古墳では、金鍍金の金環が2点、銀鍍金の銀環が1点出土しています。耳環は古墳時代後期から飛鳥時代にかけての古墳や横穴墓の副葬品として全国的に発見されることが多い遺物であり、大きさはまちまちです。
 人物埴輪にも耳環の表現があるものもあることから、石棺内からの出土の場合は、被葬者の耳に着けられていたものが出土していると考えられています。しかし、出土する耳環の切れ目は間隔が狭いものもあり、耳たぶに挟んだのか、穴を開けたのか、または冠や帽子につけていたのではないかなどさまざまな見解があります。
 古墳時代の耳飾りの中には垂飾付のものもあり、県内では行方市三昧塚古墳から出土しています。垂飾りの付いた耳飾は九州や朝鮮半島からの出土が多く、朝鮮半島からもたらされた服飾と考えられています。
 耳環は古墳だけでなく中地区の道高遺跡や厨地区の鍛冶台遺跡など市内の集落跡の遺跡からも見つかっています。   
 道高遺跡は古墳時代の集落跡で古墳後期の竪穴建物跡から2点の耳環が出土しています。
 約1500年前のものですが、今でも美しく輝いている耳環を見てみると、鹿嶋の古墳時代の権力者に思いを馳せることができます。

道高遺跡耳環出土状況

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