武神に祈りカシマを知る~アントラーズ必勝祈願ウォーキング体験レポート~

アバターby:鹿行ナビ

鹿島神宮で鹿島アントラーズの必勝を祈願するウォーキングツアー参加者たち

11月29日、明治安田生命J1リーグ第30節の試合前に「KASHIMA TRAVELERS」アントラーズ必勝祈願ウォーキングが行われました。11月14日・川崎フロンターレ戦前に続く2回目のウォーキングツアーをレポートしていきたいと思います。

集合はキックオフ3時間前の12時、鹿島神宮駅です。まずは体温を測り、健康状態をチェックします。ツアーコンダクターからはツアーの説明とともに鹿嶋市と鹿島神宮にまつわるクイズも飛び出します。さらに手荷物預かりのうれしいサービスも。鹿島神宮駅から鹿島神宮、そして茨城県立カシマサッカースタジアムを目指す全長5km・2時間半に及ぶウォーキングツアーは手ぶらで参加できるのです。

鹿島神宮駅からアントラーズ必勝祈願ウォーキングがスタート! いざ、鹿島神宮へ!!

駅を背に坂道を登っていくと、塚原ト伝(ぼくでん)の銅像が現れます。今から約500年前の戦国時代に現在の鹿嶋市に生まれた卜伝は真剣勝負で生涯無敗、さらに平和をもたらす剣を広める旅へ出るなど、剣聖としてその名を轟かせました。

坂を登り切れば、参道商店街の大町通りへ。カシマスタジアムの人気スタグルとして有名なカツカレーを提供しているエミールや鹿島名物のそば屋、魚介が豊富な和食処に鉄板焼き&しゃぶしゃぶなどなどが軒を並べています。中には鹿嶋市民のハートをがっちり掴んで離さないかしま甘太郎も。自家製あずきに独自ブレンドの皮生地もおいしい甘太郎はひとつ130円で白あん、あずき、クリーム、キャラメルフレークをご用意。鹿嶋市民には今川焼や大判焼ではなく、甘太郎と言えば話が通じるのだとか。

ウォーキングも始まったばかり、かしま甘太郎の甘~い甘太郎で糖分チャージをお忘れなく

ほかにも地ビールショップを覗いたり、お土産屋を眺めたりするうちに鹿島神宮へ。大鳥居がツアー客をお出迎え。こちらは東日本大震災からの復興のシンボルでもあります。前の大鳥居は1968年に竣工した日本最大の国産花崗岩でしたが、2011年3月11日に倒壊……。その後、境内にある杉の大木を切り出して鳥居をつくることに。伐採・輸送・乾燥・加工と震災から3年の時を経た2014年6月1日に竣工となりました。

大鳥居をくぐり、鹿島神宮へ

大鳥居をくぐると、深緑の中にひと際朱色がまぶしい高さ13mの楼門が。1634年徳川頼房公が奉納したこの門は日本三大楼門のひとつに数えられる。また鹿島神宮の扁額(へんがく)は元帥海軍大将の東郷平八郎がしたためたのだとか。

1634年水戸徳川初代藩主の頼房卿により奉納されました楼門も、
もちろん重要指定文化財に指定されている

楼門をくぐると、鹿島アントラーズの選手たちが願いを綴った巨大絵馬も。日本建国・武道の神様である武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)を御祭神とする鹿島神社にあやかり、アントラーズの面々も毎年必勝祈願に訪れています。内田篤人選手が書き記した「勝」の力強い文字が見られるのも、残りわずか。

鹿島アントラーズ絵馬の願いや文字を見て、選手へ思いを馳せるのも楽しい

いよいよ必勝祈願です。拝殿でアントラーズの必勝を願います。拝殿の奥には1619年に二代将軍徳川秀忠公により奉納された本殿、さらに高さ40m・根回り12m・樹齢約1300年と推定される杉のご神木が控えています。

拝殿では鹿島アントラーズの必勝を祈願するとともにそれぞれの願いも

拝殿から先へは奥参道が続きます。巨木が両側に立つ長さ300mの森林回廊はしんとした空気に包まれています。

神秘的な雰囲気に包まれた奥参道は歩くだけで身も心もリフレッシュ

鹿島神宮と言えば勝負必勝の神様であり、また鹿でもあります。鹿島神宮では古くから鹿は武甕槌大神の使いであると言われています。奈良の春日大社の鹿は、じつは鹿島神社から来たという言い伝えがあるほど。鹿島の神鹿は長い間大切に保護されていましたが、一時途絶えてしまいます。そこで1957年に奈良と神田神社から神鹿を迎え、現在の鹿園が開園されたました。

鹿園脇の売店で鹿のえさのニンジン(100円)を購入し、鹿のもとへ

まっすぐ進んだ奥参道の突き当りには奥宮が。奥宮は1605年に初代将軍徳川家康公が関ヶ原戦勝の御礼に奉納した本殿を元和の造営の際に引き移したもの。国の重要文化財にも指定されています。

奥参道を300m進んだところに佇む奥宮。荘厳な雰囲気に包まれた社である

奥宮を左手に進むと、長い下り阪の先に御手洗池(みたらしいけ)が控えます。古くから神職のみそぎの場である御手洗では毎日400klもの清水が湧き出ています。この池は大人が入っても、子どもが入っても水面が胸の高さを超えないと言われ、鹿島七不思議に数えられています。池の横にはみたらし焼だんご(400円)やあゆの塩焼き(600円)などを販売している売店もあり、ひと息つくのに持って来い。

こんこんと清らかな水が湧き出る御手洗池では色とりどりの鯉の姿も
毎年1月中旬には200人もの人々が大寒禊を行います(2021年は一般参加中止の予定)

御手洗池から今ツアー最大の難関である長い登り坂を歩いて奥宮へ戻り、次は右手へ進むとうっそうとした巨木を切り分けた落ち葉も趣深い林道が続きます。歩いているうちに鹿島神宮の中ではなく、山の中へやって来た錯覚すら起こってきます。奥宮から国道51号へ進むと東京ドーム15個分にもおよぶ20万坪の広大さを実感することでしょう。

20万坪を誇る神宮の森は800種を超える草木が繁茂する豊かな森でもある

国道へ出ると、一気に下界へ戻って来た感覚に。ツアーコンダクターの鹿島中学校出身の選手のエピソードなどを聞きながらラストスパート。ゴールはジーコ像です。これで2時間半にわたった必勝祈願ウォーキングツアーはおしまい。

参加者たちは「楽しかった。アントラーズ好きだけど、鹿島神宮や歴史の話も聞けて興味深かったです」「率直に楽しい。神話の話から地元出身の選手の話まで聞けて、親近感が湧きました」「鹿島という地の歴史的な背景まで知ることができて、試合がより楽しめそうです」「非常に楽しかったです。地元の人とアントラーズの関わりの深さがうらやましく思いました」といずれも満喫した模様。

ちなみに鹿島神宮でのお参りの効果は早速出ました。ご存じの通り11月29日、鹿島アントラーズは浦和レッズに4-0の完勝。武甕槌大神のご利益を思い知った「KASHIMA TRAVELERS」アントラーズ必勝祈願ウォーキングでもありました。

カシマスタジアムへ到着。ここからメインの試合観戦が始まります

取材・文:碧山緒里摩

撮影:大崎聡

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